2016年6月26日日曜日

時を伝える「和歌」

米川千嘉子先生の講演「和歌をよもうー老いの楽しみ、言葉のふしぎ」和歌の専門家からの話は初めて、一番印象に残ったのは昭和後期の和歌と平成の和歌には断絶がある。「老い」の歌も昭和の老人は孤高を歌い家庭の介護は歌われていないし、青春も爽やかに歌われている。平成の歌は認知症、介護、老いの胸の内がストレイトに詠まれ、青春も出口のない苦しみを歌い、また現代の情報を基に知的な歌を詠むと。この話を聞いていて、吉田兼好を思い起こした。兼好は二条派の歌人、出家しても歌人として、古今和歌から新古今和歌集に至る八代集の雅な世界を愛し、玉葉和歌集から風雅和歌集の時代への移りを知的な技巧に走って風情がないと嫌ったと言われているが、現代も『徒然草』の時代の様に、大地震、津波、噴火と混乱の時代を迎えていると言うことだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿