2018年9月21日金曜日

「酒船石」宣長さんとの時空を超えての体感

『菅笠日記』の中で宣長さんは「岡に戻り、三四町ほど北へ離れて右の方の高いところへ一丁ほど登ったところに、不思議な大石がありました。長さ一丈二三尺、横は広い所が七尺ほどで、硯を置いたように平らで、中央部に丸く長く彫った所がありました。深さは五六寸で、底は平らです。その頭というべき個所に、同じように小さく丸く彫った所が三つあり、中ほどのは大きさも中位で、端の二つはずっと小さく、頭の方の中ほどに彫った所から下側へ細い溝を三本彫って、中央のはあの広く彫った所へ真っ直ぐ続き、また石の下の端まで通り、端の二本は斜めに下って、石の左右の端へ通り、またその端にある溝に枝がしたしたあって、左右に小さく彫った所に通じでいます。全体の石の形は、四隅はどこも角がなくて丸く、頭のほうが広く下はやや細くなっています。そもそもこの石は、どの時代にどんな目的でこんな風に造ったのか、理解できません。里人は昔の長者の酒船と言い伝え、付近の名も酒船といいます。石は昔はもっと大きかったのを、高取の城を築いた際に、端のほうを大きく切り取って移動したとの話です。」と詳細に形状を観察しています。私も石を摩りながら不思議な図形が宇宙空間を超えて出現した感覚に捕らわれた。

2018年9月12日水曜日

平成最後の夏 体感の旅

初夏、数年前羽黒山神社に立ち寄った折、蜂子神社に詣で数奇な運命を知った。過去、現生、未来を体感したく、湯殿山、月山を巡る旅は、静かで透明な時間となった。盛夏、小学六年の少年と彦根城、姫路城の旅に出た、男二人、歴史好きな少年との旅は、出会った大人達との優しい土地柄を体感するものとなった。少年と別れて一人、飛鳥を歩いた。藤原京に立ち、持統天皇の万葉集和歌を体感し、だれもいない竹林の中、本居宣長が体感した酒船石と時空を超えての体感となった。